紀伊国屋書店「けやきウォーク前橋店」の影響
3月10日付けの日本経済新聞群馬版の記事によれば、「けやきウォーク前橋」に出店した紀伊国屋書店の初年度年間売上目標は14億円とのこと。
紀伊国屋書店でも、SC(ショッピングセンター)内店舗としては全国でも最大級になるそうです。
毎週、東京新聞群馬版に経済コラム書かせていただいておりますが、昨年(2006年)11月23日掲載の「書店に見る競争のダイナミズム」のタイトルで書いた文章には、同店の売上は、12億73百万円~15億25百万円と試算してみました。
最終的には3,200平方メートルの売場面積になりましたが、当時は1,000坪(3,300平方メートル)の売場面積で進出すると言われましたので、当たらずとも遠からずの試算結果になりました。
3,200平方メートルの売場面積で、もう一度計算してみましょう。
基本となるものは、やや数字が古いですが、他に無いので、2002年の「商業統計調査」における旧前橋市の書籍・雑誌小売状況です。それは以下のようでした。
小売店舗数57店、年間商品販売額77億5,700万円、売場面積1万6,801平方メートルです。
ここに3,200平方メートルの売場面積の本屋さん(紀伊国屋書店)が入ってきます。
条件は、書籍・雑誌売上は年々減少しており、「けやきウォーク前橋」の商圏人口も増加しないということになります。
で、試算その一として、既存の77億5,700万円の売上を仲良く分け合うケースを計算します。
既存売場面積は1万6,801平方メートルに、進出する紀伊国屋書店の売場面積3,200平方メートルを足します。すると合計は2万0,001平方メートルになります。
この数字で年間商品販売額77億5,700万円を割ると1平方メートル当たり約38万8千円になります。これに3,200平方メートルを掛けると、12億4,100万円の数字が得られます。
試算その二はきわめて単純です。年間商品販売額77億5,700万円を既存の売場面積1万6,801平方メートルで割ると、1平方メートル当たり売上高は約46万2千円になります。
この数字に3,200平方メートルを掛けると、14億7,800万円という数字が得られます。
「試算1」で得られた数字12億4,100万円と、「試算2」で得られた14億7,800万円という数字を比較検討し、初年度年間売上目標14億円を引き出したような気がします。
もちろん、業界平均数字や、同じような商圏に立地している紀伊国屋書店の他の店の売上データも参考にして出した数字だと思います。
さて、この14億円と言う数字がどのような影響を与えるかです。
常識的に見て、最大の影響を受けるのは、顧客層が重なる前橋の老舗書店「煥乎堂」でしょう。次に文真堂書店が展開する「ブックマンズアカデミー前橋店」、そして「戸田書店前橋本店」と言うことになると思います。
地理的に近い「文真堂書店天川店」、「文真堂書店新前橋店」、「ファミリーBOOK天川大島店」に対する影響も少なくないものがあると思います。
特に年商30億円強で、経営再建中の病み上がり状態にある「煥乎堂」さんにとっては、「紀伊国屋書店」さんの一挙手一投足が気になって仕方ないものになると思います。
人気作家や人気ミュージシャンを呼んでイベントを企画する力から言えば、「紀伊国屋書店」さんの方に軍配が上がります。
外商に力を入れているようですが、教科書販売の権利を持ち、長年競合がなく「殿様商売」をしてきただけに、ゲリラ的な戦い方にも不慣れなような気がします。
もちろん教育業界や官公庁にディープな「煥乎堂」ファンはいますが、「紀伊国屋書店」のブランド力もまた強烈です。
気になるのは、旧群馬町(現高崎市)にある郊外型店の動向です。
こちらは「イオン高崎ショッピングセンター」内にある「未来書店」と競合しているのではないと思われます。
「煥乎堂」さんの決算月は5月。平成19年5月期は、「けやきウォーク前橋」と「イオン高崎ショッピングセンター」の影響は通期で現れませんが、来年の平成20年5月期はこれがステレートに現れます。
どうなるのか、長年「煥乎堂」になじんだものとしては、気が気でありません。これでもかつては、個人部門の月間書籍購入金額ベストスリーに入って、記念に銅鐸のミニチュアレプリカを同社から貰ったことがあるんですから。
【「けやきウォーク前橋」に出店した紀伊国屋書店と壮絶な戦いが予想される煥乎堂がある前橋市から軽井沢町までの距離≒26マイル≒42km】
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コメント
紀伊国屋書店、嬉しいけどどうですかね。最近はかなりの専門書もアマゾンの中古で手に入りますから。あまり大きい書店はけっこう疲れるんですよね。
投稿: toki | 2007年3月18日 (日) 20時44分