群馬の市別小売力(吸引係数)
「週刊エコノミスト」11月14日号で、『成長する都市 衰退する都市』で知られる佐貫利雄帝京大学名誉教授が「小売機能で比較する 首都圏の成長する都市 衰退する都市」と題して面白い記事を書いていました。
首都圏一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口10万人以上の都市および東京23区を対象に小売機能の吸引係数をまとめています(詳しくは同誌を参照ください)。
誌面の都合と思いますが、残念ながら群馬県には言及していませんので、独自に群馬県の旧11市について数字を出してみました。
基準となるのは、商業統計は平成16年のもので佐貫名誉教授と同じですが、平成16年12月の新たな前橋市の誕生や平成18年春の市町村合併の煩わしさを回避するため、人口は全国も群馬県も平成16年10月1日の推計をベースにしております(佐貫名誉教授は、人口に関しては、平成17年10月の「国勢調査」をお使いになっています)。
県内旧11市の小売販売額(年間商品販売額のみ)を人口で割った1人当たり小売販売額を、全国のそれを100として比較して見ました。
平成16年商業統計の全国小売販売額を平成16年10月1日の全国人口1億2,779万人で割ると、1人当たり販売額は104万3千円(百円の位は四捨五入)になります。
群馬県の平均は104万6千円(吸引係数100.3)です。ほんのちょっと、県外からの買い物客が県外へ流れる買い物客より多いことになります。
旧市の数字は次のようになります。
地区名 1人当たり販売額(千円) 吸引係数
全国 104万3千円 100.0
群馬県 104万6千円 100.3
群馬県市部 125万3千円 120.1
群馬県郡部 71万3千円 68.4
旧前橋市 128万0千円 122.8
旧高崎市 145万9千円 139.9
旧桐生市 89万0千円 85.3
旧伊勢崎市 137万3千円 131.7
旧太田市 120万2千円 115.2
旧沼田市 119万8千円 114.9
館林市 135万1千円 129.5
旧渋川市 143万4千円 137.5
旧藤岡市 103万6千円 99.4
旧富岡市 108万7千円 104.2
旧安中市 88万3千円 84.7
(1人当たり販売額は千円以下四捨五入。吸引係数は小数点第2位以下四捨五入)
佐貫名誉教授は、吸引係数1000以上を「ウルトラ・スーパーA」、500~1000未満を「スーパーA」、200~500未満を「準スーパーA」、150~200未満を「A」、100~150未満を「B」、90~100未満を「C」、80~90未満を「D」、80未満を「D」と8段階にランク分けしています。
算出基準になる人口のベースが違うので単純には比較できませんが、「ウルトラ・スーパーA」にランクされるのは東京都千代田区、東京都中央区だけです。もちろんこのクラスの市は群馬県にありません。
「スーパーA」(渋谷区、新宿区のみ)も、「準スーパーA」(港区、台東区、豊島区など4件)も、「A」(立川市、成田市など)も、群馬県にはありません。
しかし「B」になると、群馬県の市の場合、大半がこのランクに入ります。旧11市のうち8市が「B」です。
1都3県で「B」は、東京都墨田区、町田市、上尾市、厚木市など14市区が入るだけです(ただし1都3県の場合、集計対象が人口10万人以上ですから、少ないのも当然ですが・・・)。
群馬県でトップはやはり旧高崎市の139.9。
JRの要衝ですし、駅ビルの高崎モントレー、高崎ビブレ、高崎高島屋が黄金のトライアングル地帯を形成しています。近年これにタワーレコード、ギャップの入るビルが加わりました。
JR高崎駅から少し離れますが、百貨店のスズランもありますし、近年は「問屋町」から「小売町」への変貌著しい高崎市問屋町周辺の商業集積もあります。また下之城町を基点にして問屋町までの環状線沿いには、フリースタンディングの大手専門店チェーンが林立しています。新町方面には高崎アピタなどもあります。
商業統計調査実施の時期は、隣接して、旧群馬町、旧新町、吉井町といった比較的人口が多い町があったことも係数上昇に貢献しています。
このあおりを食ったのが旧安中市です。吸引係数は84.7と100を割り込み、県内の市部では最低の吸引係数となっています。
また旧藤岡市も99.4と旧高崎市の吸引力に勝てなかったようです。
意外な感がするのが旧渋川市の健闘振り。131.7と県内2位になります。やはりベイシア、カインズなどが出店する行幸田周辺の商業集積効果でしょうか。
3位は旧伊勢崎市。言うまでもなく「いせさきモール」およびその周辺の商業集積によるものでしょう。
目立つところでは旧桐生市が85.3と低迷していること。
土地の制約から大型商業施設の進出が難しく、隣接地に買い物客が流れてしまっているようです。
旧太田、館林、旧桐生は栃木県の足利市、佐野市と両毛経済圏を形成し、買い物客を取ったり取られたりしているようです。
館林市の129.5が目立ちますが、これは館林アピタを核店舗とする「館林つつじの里ショッピングセンター」の貢献だと思います。
旧太田市が115.2で余り高くない数値ですが、平成15年12月にオープンした「イオン太田ショッピングセンター」が通年寄与していない数字だと思いますので、最近の様相と若干違った印象を受けます。
10月26日エントリーの「けやきウォーク前橋の一抹の不安」の中でもふれましたが、平成16年以後の両毛地区の商勢には大きな変化が起こっていますので、平成19年6月実施の、次回商業統計調査の数字が気になるところです。
かなりラフな言い方になりますが、やはり、車の普及した群馬県においては、郊外に大型商業施設(ショッピングセンター、モール)がある市の吸引係数が高くなるようです。
佐貫利雄帝京大学名誉教授は「都市に活力をもたせ、成長させる方法はさまざまだが、主要なもののひとつは、小売り機能の拠点性の強化、つまり小売業を盛んにして人々を呼び込む力を高めることである。」と前掲の記事の中で書いております。
(写真は、上が関越自動車道高崎インターチェンジ付近からも良く見える、ランドマークのようなクルマ屋さんのビル。下は高崎駅西口近くにある若者御用達「居酒屋ビル」。すべて大手居酒屋のチェーン店だと思います。)
【群馬県一小売吸引係数が高い高崎市から軽井沢町までの直線距離≒22マイル≒36km】
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